地域医療型精神科リエゾン
Liaison
リエゾンとは

”リエゾン”とはフランス語で「連携・橋渡し・つなぐ」を意味し、”精神科リエゾン”は身体疾患で入院中の患者さまが何らかの精神心理面での問題を抱えた場合に、担当各科の医師や看護師と「連携」しながら支援を行うことを指します。
手術後に意識がもうろうとして、急激に錯乱、幻覚、妄想状態を起こす患者さま(せん妄)へのニーズが高いと着目されております。
その他、入院中のメンタルヘルス全般にも関わります。
当院では”地域医療型”リエゾンの医療サービスを提供しており、当院医師による他の医療機関との精神疾患に関する医療連携を目指しております。
本プロジェクトの目的
- 患者さまの精神症状の改善
せん妄やうつ状態など、精神症状の改善により、患者さまのQOLの改善や、身体疾患の治療成績、予後、在院日数の減少などの副次的効果が見込めます。 - 精神症状を有する患者さまに対する病院全体の臨床力向上、スタッフの意識改革
せん妄やうつ状態など、精神症状に対する教育や業務フローの見直しなどを通じて、病院のアクティビティや病床稼働の向上を目指します。 - 職員のメンタルヘルス向上
せん妄に対するスタッフのストレスは大きいため、せん妄対策によって職員のストレスが軽減することが期待できます。
スタッフに対する相談業務を行うことで、職員のメンタルヘルスが向上し仕事の効率低下を防ぐ効果も期待できます。
業務内容
- 入院患者さまの診察(せん妄、うつ状態、緩和ケアなど)
- せん妄や認知症等に対応したマニュアル整備、院内教育
- 認知症ケアチームに対する後方支援
- 職員のメンタルヘルス相談
その他、内科訪問診療に対する後方支援、精神科病院への転院相談など、連携施設のニーズに合わせて適宜行っております。
連携施設における現場の声(抜粋、一部改変)
- 見違えるように良い方向へと変化していく姿を見られると安心します(看護師)
- カルテを拝見して現状と対応を検討出来る(看護師)
- 精神科医師による視点や評価を垣間見れるだけでも大いに参考になる(医師)
- 適切な睡眠導入剤の選択、不穏時の指示やせん妄の評価、担ガン患者の対応など、とてもありがたい(医師)
担当医師よりメッセージ
精神科リエゾン診療は、総合病院に勤務する精神科医が、身体疾患で入院中の方の精神症状に対して、院内コンサルテーション活動を行うイメージが強いと思います。
こうした院内での橋渡し(リエゾン)役も大事なのですが、活躍の場をもう少し広げて、地域医療機関同士の橋渡し役になる精神科医が必要だと感じるようになりました。
精神科病院に勤務する精神科医が、地域の総合病院や患者さまのご自宅に足を運んで活動することで、精神症状を抱えた方の身体疾患治療がより円滑になると考え、「地域医療型精神科リエゾン」を立ち上げました。
2025年4月時点で4つの医療機関と連携を行っております。
他院や地域の皆様の信頼を得るためには、エビデンスと経験に基づいた精神科専門治療を行うことが重要です。
当院での精神科診療の質を向上させながら、リエゾンの輪を少しずつ広げていければと思います。
地域医療部長 山形