身体疾患が精神に与える影響

身体的な疾患が精神に与える影響には様々なものがあります。従来体と心とは密接に結び合わさっているもので、身体的なけがや病気が精神面に及ぼす影響は多種・多様に渡って存在します。
身体疾患は、まず患者の感覚的な部位に作用します。痛みやだるさ、苦しさ、吐き気など種々の程度の不快な感覚は、患者の日常生活にとっては非常な負担となります。身体感覚が心に作用してくると、不安感やいらいら、喜び、悲しみなどの感情面での障害を引き起こすことになります。患者にとっては痛みや苦痛などの日常的な不快感が伴うため、これら感情面の症状を抑えることがより難しくなります。また、記憶困難や記憶の混乱など、記憶面に影響が及ぶこともあります。
身体疾患や、それにともなう精神疾患が患者の周囲の人々にもたらす影響やそこからの反応によって、ふたたび患者自身への影響が起きる場合もあります。対人関係でのストレスや、社会からの孤立による阻害感、などがこれに当たります。ひどい場合は自殺願望や無気力などの重篤な症状に陥る場合もあります。

身体疾患による精神的問題の原因と種類

精神的な問題を引き起こす身体疾患にも種々のものがあります。精神性疾患の原因となる身体疾患には、体の特定の部位の病変によるものや、全身の不調を原因とするものがあります。
身体疾患が精神面に与える影響は、主に認知機能に関わるものと、それ以外のものとの2種類に分類されます。
認知面での疾患としては、血管の動脈硬化が原因で血管性の認知症を引き起こすことがあります。これは、脳の動脈内部が細くなり、脳細胞が死滅してしまうことによって起こる病気ですが、比較的若年でも起きる病気で、無気力やいらいらを伴うことがあります。
認知症以外のものでは、気分障害や不安障害、睡眠障害、うつ病など、多岐にわたります。これらの原因となるものは、甲状腺機能の亢進症や低下症、糖尿病、更年期障害などです。過度のダイエットなどによる栄養失調によっても、これらの症状が起きる場合があります。とくにがん患者や、糖尿病の患者において、同時にうつ病に罹患することが多くなっています。

身体疾患による精神的問題のケア

身体疾患と精神疾患とがリンクしている場合、まずは精神的な症状の原因となっている身体疾患を治療することが急務となります。それとともに、患者自身の精神面でのケア、身体疾患によって心の問題も起きうることを患者に伝えながら総合的に治療を進めていく必要があります。患者自身に病気のことを正しく伝えるインフォームド・コンセント、患者自身が自分に見合った治療を選ぶインフォームド・チョイスによって、患者が自身の病気とその治療にむけて積極的にかかわる意思を持つことが非常に重要です。また、必要であれば精神的な問題の軽減のために抗鬱剤や精神安定剤などの薬剤が使用されます。

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